8月の暑い日に、父親の暮らす部屋を片付けた時に親指を扉で挟んだ。
爪の付け根は内出血を起こして、気がつけばその痕がもう爪の先の方まで来てて、あれからもう2ヶ月近く経つんだなと思った。
父親が病院に運ばれてからもう3ヶ月以上経つけど、きっともう今までのように会えることはないんだと、心のどこかではわかっていても、受け入れられていないと言うか、やっぱりリアリティがない。
父親が死んでしまう夢を見て、その方がよっぽどかリアリティがあって、目が覚めてからも随分現実との境目がわからなかった。
生きてて欲しいのに、何も出来なくて、もどかしさと、これまでの事を思い返すと後悔がどんどん湧き上がって来て、無性に腹立たしくなってイライラする。
何に、誰に、どうしてそんな感情になるのかもわからないし、自分自身も正直かなり滅入ってるし、上手く気持ちのやり場がない。
爪を切るときに、ああ、こんなに伸びたのかと現実を突きつけられて、その時間の長さを味わう父のことを思うととても気持ちが苦しくなるな。
現実ってのはなかなか複雑でもどかしい。
t